「若きアントレプレナーへの手紙(Letter to a young entrepreneur)」リーンスタートアップの重要性

現代のテック・スタートアップにとって、リーンスタートアップの必要性については、先日のMeetupの際にも「ベター」ではなく「マスト」だとお伝えしました。

今日読んでいたブログに、「若きアントレプレナーへの手紙(Letter to a young entrepreneur)」と題された、ある先輩リーンスタートアップ・メンターからの記事がありましたのでご紹介します。

 

 

John Predergastは”Blueleaf“というパーソナル・ファイナンス管理サービスの協同ファウンダーで、ボストンのLean Startup Circleのオーガナイザーでもあります。

 

彼は、これからスタートアップを開始するあるアントレプレナーから来たメール(メインはアイディアに対するフィードバック依頼)に記載されたある一節に目を止めます。そこには、そのアントレプレナーが考える「ゴール」が次のように記載されていました。

 

ゴール:

  • 1 month – コンセプトをまとめあげ、チームを探す
  • 6 months : ベータバージョンを構築する
  • 6 months – 1year : 一緒にテストを実施する企業をみつけ、プログラムを改善する

 

 

John Predergastは「市場からの学習」という、最も大切なプロセスが彼の計画の最後に記載されていることに、リーンスタートアップの必要性がまだ浸透していないことを痛感します。

いまだに多くのアントレプレナーが「フィールド・オブ・ドリームス・メソッド」(映画フィールド・オブ・ドリームスの有名なセリフ「作れよ、さらば彼は来たらん」をもじり、「作れよ、さらば顧客は来たらん」という神頼み方式で起業すること)から進化してない事を感じた彼からの返信メールは、やさしく、実に丁寧にリーンスタートアップの必要性を伝える内容になっています。

 

みなさんの周りにもいまだにフィールド・オブ・ドリームス・メソッドによってアイディアを競い合っているスタートアップの方がいらっしゃいましたら、ぜひこのブログを共有いただき、リーンスタートアップの必要性をお伝え頂ければと思います。

 

では、その返信メールの内容をご紹介します。

原文はこちら

 


 

情報共有ありがとう。

 

私はいつもアイディアよりもプロセスにフォーカスしています。なぜなら、スタートアップの初期の段階では、起業アイディアに対するクオリティは、ターゲットするユーザやマーケットからのフィードバックから得るべきだからです。

 

ゴール:初期段階のあなたのゴールは「あなたのアイディアを『誰かが』必要とするか?」に集約すべきです。テック・スタートアップにとって最も大きなリスクは「誰も使わないサービスを開発すること」です。もし私があなたの立場なら、プロセスは以下のように組み立てます。

 

1)ウィーク1:紙のプロトタイプ。基本的な画面を紙に書きだします(http://balsamiq.comのようなツールでもよいでしょう)ただしこの段階では基本コンセプトに対する肉付けのようなことはせずに、ただ頭の中にあるアイディアを書き出します。文章ではアイディアをじっくり考えたり、誰かと共有したりするのに効果的ではありません。

 

2)ウィーク2-4:あなたのアイディアが解決すると考える課題を抱えている人たちと会話をし、裏付けをします。もしこのステップを初期の段階で実施しなかったとしたら、きっとあなたはアイディアを考え続けるという、とても大きな「無駄な時間」を過ごすことになるでしょう。

 

  1. ユーザには、あなたが想定する課題に対して普段どのように対処しているかを尋ねます。ユーザがこの「課題」を自分の抱えているものだと認識しているかを確認するのです。現時点ではユーザがこの課題にどう対処し、その対処では何が足りないかや不満に感じることを聞くのです(まだ、解決するためのアイディアは彼らに伝えません)「ジョブ1」はユーザが自分で課題を抱えていると思っているかを確認して、あなたが考えるアイディアと一致するかを確認するのです。
  2. 次にユーザにアイディアを示し、ユーザが語る課題のいずれかでも解決すると思うかを聞いてみます。
  3. この作業は5人から10人ぐらいのユーザに対して繰り返し実施しますが、きっとこの作業は楽しい物にはならないでしょう。なぜなら、あなたのアイディアのほとんどはまったくの的外れであることに気づくからです。もしアイディアが有効だと考えるユーザが現れたとしたら、きっとそのユーザはあなたの作業に協力をしてくれるという幸運に恵まれる可能性もあります。
  4. (インタビュー結果から)紙のプロトタイプと、アイディアの伝え方を更新していきます。この作業は、インタビューした人たちが共鳴してくれなかったすべての項目についての「そげ落とし」が完了するまで続けます。
  5. 再度、新たな人をターゲットに、更新したプロトタイプで同じインタビューを実施します。あなたのアイディアが核心に近付いているかを確認するのです。

 

3)ウィーク5-8:アイディアを、ユーザ自身が「これで解決しそうだ」と感じるまで更新したら、ようやく何をつくるかを考え始めます。ただし、もっともシンプルで最小機能だけを搭載したバージョンで検討し、ビジネスモデルとして成立するもの(どこかの誰かがその価値に支払っても良いと考える物)として考えます。ただし、この段階でもまだ実際のサービスを作り出す必要はありません。機能が確認できるシュミレーションを作れば良いのです。

 

4)ウィーク9-10:このシュミレーションをユーザに提示し、ユーザが納得するかを確認します。反応はどうでしょうか?もし期待通りでないなら、あなたの課題に対する理解と解決手段の両面から、何を見落としているのかを探ります。ただしユーザがそれを教えてくれることはありません。彼らはだたツールを使い「良いか悪いか」を教えてくれるだけです。ユーザにそれ以上のことを期待してはいけません。なぜなら間違った方向へ導かれる可能性があるからです。

 

こうしたプロセスが、あなたのアイディアを現実の世界でいかに素早く、しかも安価にテストすることにフォーカスしているかが分かりますか?このようなプロセスを実施する際のスピード感とは、このユーザから学んだことを製品へ取り込むサイクルを高めることなのです。この製品は「紙のプロトタイプ」から開始し、データと検証が進むたびに「現実味」を帯びていくのです。

 

もしこのプロトタイプ作成が困難だとしたら、これを手伝ってくれる人、つまりウェブデザイナーの採用を考えましょう。この採用を通じて、協同創業者のオーディションとしてもいいでしょう。

 

私は、あなたが「特定できた!」と感じられた課題には解決方法は適切に提供できるけれど、それがまだ曖昧な場合(課題の設定が部分的すぎたり、大きすぎたりする場合)には、それができないことに気付くだろうと思っています。あなたの進むべき道はこうした作業なのです。

 

このアプローチによって2つのアドバンテージが得られます。1)誰も気にかけない課題に対するソリューション(サービス・製品)を作ってしまう確率の軽減。2)解決する価値がある課題を特定することによって、現実世界のデータと、その課題に取り組んでいる他の誰よりも深い洞察の両方を得ることができる。この2つは、あなたがより多くのユーザから関心を得られる確率を高め、更に先へ進むための売上げにつながるのです。

 

こうしたアプローチに関する有益な本やブログがあります。

より深い検討の為に、以下を参考にしてみてください。

www.steveblank.com

www.startuplessonslearned.com

http://market-by-numbers.com/

http://www.custdev.com/

http://www.ashmaurya.com/

 

 


 

いかがでしたでしょうか?

まさしくリーンスタートアップの基本的なプロセスを提示ししてる訳ですが、メールの返信ということで、非常に分かりやすい言葉で伝えられています。

課題・ソリューション整合を取らずに先へ進んだ時に起こってしまうこと、大きなお金をかけずに課題・ソリューション整合の検証方法、ユーザからのフィードバックの実態など、リーンスタートアップの理解に対する助言や実際のアクションまで、語りかけるように記載されています。

 

今回のケースでは、恐らく最初にメールを送信したアントレプレナーは、きっとJohn Predergastをメンターとして師事しているのかもしれません(Lean Startup Circleなどを通じて)。こうした時に、メンターからこのようなアドバイスを得ることが出来れば、多くのアントレプレナーがリーンスタートアップを実施する機会は増える気がします。

 

われわれの活動も、こうした地道な普及を続けていくことに価値があると思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

 

 

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