"Lean Startup Japan"

新規事業を成功させる4つのステップ

最初のユーザの見つけ方 その2「ユーザをセグメントする」

 

 

前回のブログから間が開いてしまいました。

3回シリーズでお伝えする「最初のユーザの出会い方(その2)ユーザをセグメントする」をお伝えします。

 

 

これから製品を世に出していこうとするかたにまず理解していただきたいのは、「マーケット」と「ターゲット」の違いです。

 

マーケットとターゲットは一見すると同じに見えますが、「マーケット」を形成するのは、様々な属性を持った複数の「セグメント」です

例えばモバイルという大きなマーケットにおいても、ビジネスユースを主体とするセグメントや、パーソナルユースを主体とするセグメントが存在するように、1つのソリューションを利用する理由はセグメント毎に異なるのです。

 

大きなマーケット内に存在する複数のセグメントの中でも、そのソリューションを最初に利用するセグメントもあれば、世間に広がってからでないと利用しないセグメントがあります。

こうしたセグメントを、ソリューションの採用順に並べたのが「イノベータ」「アーリー・アダプター」「アーリー・マジョリティー」「レイト・マジョリティー」「ラガード」から構成される「テクノロジー・ライフサイクル」です。

 

スタートアップが成功するためには、このテクノロジー・ライフサイクルの「イノベータ」に当たるセグメントを的確に「ターゲット」する必要があるのです。

 

ファウンダーは、思いついたアイディアの大きさから、最初からより大きなマーケットを目指そうとする傾向にあります。

しかし、携帯電話も初期の段階では個人ユーザは存在していなかったのと同様に、新規サービスというものは、必ずイノベータによって採用された後に拡大を始め、やがて大きなマーケットへと進化するのです。

 

初期のプロダクトとターゲットは小さく明確であり、その背後にあるマーケット(課題)とビジョンは非常に大きいという構図が、スタートアップにとっては理想的です。

 

リーンスタートアップでは、初期のプロダクトはMVP(Minimum Viable Product)=必要最低限の機能を持った製品として開発し、マーケットのなかからそのMVPでも十分に抱えている課題を解決できると考えるユーザセグメントに対して販売を行なっていきます。

そして、初期のユーザセグメントに受け入れられてから、その評判を聞きつけた他のセグメントへと拡散(スケール)していくのです。

 

 

よって、初期のターゲットを決めるには、どのようにセグメンテーションを行うのか?が重要になってきます。

マーケティングの教科書的な書籍を見ると、以下のような手段がセグメンテーションの一般的な手法とされています。

  • ジオグラフィック(地理的分割)
  • デモグラフィック(年齢、性別といった人口統計による分割)
  • サイコグラフィック(ライフスタイルや心理的傾向による分割)
  • 行動分析による分割

 

しかし、ソフトウェアの分野の場合、こうしたセグメンテーションによるターゲット設定はあまり有効ではありません。

なぜなら、こうしたセグメント内に存在するユーザが必ずしも同じ「課題」を抱えているとは限らないからです。

 

ビジネスの成功要因は業種によって変わってきます。

例えば、飲食店のような業種では、実際に提供されるサービスよりも、立地などの条件面がより大きな成功要因となります。地域によっては、消費者は選択肢を持たない(持てない)場合が多いからです。こうした起業の場合、セグメンテーションをジオグラフィックで行い、ターゲットを絞り込んでいくことは有効な手段です。

しかし、ソフトウェアの利用は、Webやモバイル上で提供されている限り地理的な制限をほとんど受けませんので、こうしたセグメンテーションは有効ではありません。

ソフトウェアで起業する際のセグメンテーションは、「課題」を中心に行うのが効果的です。

 

例えばみなさんが「賃貸物件の仲介・マッチングサイト」を考えたとします。

この場合、賃貸物件の仲介サイトというサービスでは、以下の2種類のユーザが存在します。

  1. 貸主
  2. 借主

です。

賃貸契約には様々な問題や課題が存在していますが、貸主と借主が抱える課題はそれぞれ異なります。

また、一概に賃貸物件といっても、商業施設もあれば住宅もあります。

さらに借主にも、首都圏に住んでいて首都圏の物件を探している人もいれば、地方に住んでいて首都圏の物件を探している人もいます。

こうしたセグメントを行うと、分割したそれぞれのセグメントにおいて、どのような課題を抱えているかの違いが見えてきます。

このような課題の中から、誰の、どの課題を解決するためのサービスを作っていくのかによって、ターゲットすべきセグメントが変わってくるのです。

 

こうしたセグメンテーションは、初期の段階においては絞りこめば絞り込むほどスタートアップには有利に働きます。

まず、ターゲットされたユーザから見ると、まさに「自分の課題を解決してくれるサービスだ」と気づかれやすくなること。

そしてもうひとつは、ターゲットを絞り込むことによって、実装すべき機能が絞りこまれ、開発にかかる期間と費用が格段に押さえられることです。

 

こうしてMVPによって最初のターゲットから受け入れられるようになってから、徐々により大きなセグメントから受け入れられるようになるのです。

冒頭でもお伝えしましたが、メインストリームのユーザは、製品やサービスを自らの意思では選択、採用しません。必ず、初期の段階で採用したユーザ・消費者の声(評判)を聞きつけてから、採用(購入)を検討し始めるのです

 

最初のユーザに出会うためには、大きなマーケットの存在はいちど頭から離しておいて、できるだけ課題を絞り込むことでターゲットするセグメントを設定するのです。

 

課題とターゲットの絞り込み方の実践についても、毎週木曜日に開催している朝会でディスカッションしますので、よろしければぜひご参加下さい!

 

それでは3回目をお楽しみに!