"Lean Startup Japan"

新規事業を成功させる4つのステップ

改めてリーンスタートアップの必要性を実感する!”The Lean Startup”

 

 

『もしキミがこの話を聞いたことがあるようだったら、この先を読む必要はない。

優秀な大学生が学生寮のデスクに座りながら未来を創造しているという話しだ。自分の限界を超え、新たなテクノロジーと若き熱意に取り憑かれ、彼らはまったくのゼロから新たな企業を立ち上げようとしている。初期の成功は、彼らに資金調達と新製品の市場投入をもたらし、そして友人を雇入れスーパースターチームを結成した。もはや世界は彼らを止めることはできない。

 

これは10年の歳月といくつかのスタートアップを遡った、最初の会社を立ち上げた当時の私のことだ。当時の記憶で私が特に覚えているのは、会社がもはや存続不可能だと気づいた瞬間で、私と協同創業者は途方にくれていた。ドットコムバブルは弾け、資金を使い果たして絶望に暮れながらもさらなる資金調達に明け暮れたが、それも徒労に終わった。そして、まるでハリウッド映画のような別れのシーンが訪れる。雨が降りしきるなか、我々は路上で口論していた。「雨を避ける場所」ですら合意できないまま、私たちは怒りと共に別々の方向に歩き出した。会社の失敗を象徴するシーンとしては、2人が雨の中を分かれていくさまはまさにパーフェクトだった。

 

しかし、私には実に苦い思い出が残った。会社は結局その後数ヶ月存続したが、状況は望み薄だった。当時、私たちはすべて理にかなった戦略を実行していると思っていた。素晴らしい製品、最高のチーム、驚くべきテクノロジー、そしてバッチリの市場投入タイミング。我々は、大学生がオンラインでプロフィールを作成し、経営者とシェアするというサービスを構築していた。しかし・・・その約束も虚しく、サービス初日からその夢は崩れ去った。なぜなら私たちはそのサービスをもって、偉大な会社を創り上げるために必要なプロセスに対する知識を持ちえていなかったからだ。

 

もしキミがこんな失敗の経験を持っていなかったとしたら、きっとこの気持ちを理解するのは難しいことだと思う。それはまるで足元で世界が分裂していくような感覚なんだ。自分はダマされ、雑誌に載っていた「ハードワークと忍耐が成功をもたらす!」といった成功話しはみんな嘘だったんだと悟る瞬間・・・。さらに悪いことには、キミは従業員、友人、家族に対し、決して実現することのない数々の約束をしてきてしまったということだ。みなが心配していたこと、そう、キミが愚かにも道を踏み外そうとしていることは、いま証明されてしまったんだ。

 

こんな事になるはずじゃなかった。雑誌や新聞、有名な映画や数え切れないブログを通じて、私たちは成功したアントレプレナーのマントラを聴き続けてきた。決断力の大切さ、飛び抜けた才能、完璧なタイミング、そしてなによりも素晴らしい製品があれば、キミも富と名声を勝ち取ることができると。

 

世の中には、こうした成功秘話を創りだして我々に売りつけようとしている「産業」が存在している。いまの私には、こうした物語がすべてニセモノであり、事実はねじ曲げられ、すべてが「美談化」されていることが理解できる。事実、数百人ものアントレプレナーたちとの仕事を通じ、いかに約束されたスタートが失敗に終わったかを、私は直接この目で見てきた。残酷極まる現実においては、ほとんどのスタートアップは失敗するという事実を。ほとんどの新製品は成功を見ず、ほとんどの新興ベンチャーは、ポテンシャルを発揮する以前に息絶える。

 

しかしいまだに、忍耐力、創造力、ハードワークといった成功物語は存在し続けている。なぜなんだろう。私はこうした「雑草からの成功ストーリー」のようなものは、現代においても何か抵抗しがたい魅力を持っているのではないかと思う。例えば、もし重要なポイントさえ押さえていれば、成功は約束されているように見せかけるということだ。退屈極まりない細かな作業の数々や、些細な意思決定は忘れられ、「(製品を)造れよ、さらば顧客は来たらん」を信じこませるということだ。そして私たちのほとんどがそうなるように、失敗を迎えたときにはお決まりのセリフが用意されている。「我々は重要なポイントを抑えることが出来なかっただけだ。ビジョンが足りず、適切なタイミングで適切なサービスを投入出来なかった」と。

 

アントレプレナーとして10年の歳月が流れ、ようやくこうした考えを否定することができるようになった。わたし自身の成功と失敗、両方の経験から、些細なつまらないことこそが、実は最も重要なことであると言うことを学んだ。スタートアップの成功は優秀な遺伝子や「適切なタイミングで適切なサービスを」などということではない。スタートアップの成功は正しきプロセスに従うことによって「設計される」ということだ。つまりそれは学ぶことが可能で、かつ教えることも可能だということを意味している。

 

アントレプレナーシップはある種の「マネジメント」だ。いや、毛嫌いしないで欲しい。あえて「アントレプレナーシップとマネジメント」という2つの両極端な言葉を用いたんだ。一方はクールでイノベーティブでエキサイティング、もう一方はダサくてお硬く、ブランド的なイメージ。

でもそろそろ、過去に構築された先入観を振り返る時期なのかもしれない・・・』

 

 

ブログにしては長すぎる文章だとは思ったのですが、これは先日9月13日に発売されたエリック・リースの「The Lean Startup」のイントロダクション部分の抄訳です。

まだ日本語訳の出版に関するニュースは聞こえてこないのですが、このイントロダクションを読むだけでも、先の内容を期待させる書籍だと思いませんか。

 

 

私は発売日にkindle版にて購入し、この290ページにおよぶ書籍をようやく全編に渡って読み終え、どのようにみなさんにこの書籍を紹介しようかと考えていたのですが、このイントロダクションをそのままご紹介するのがもっともこの書籍への期待感と共にお伝えできるのではないかと思い、書籍のほんの一部ではありますが、イントロダクションをダーッと訳してみました(日本語の読みさすさ重視でかなり意訳しています!)

 

ソフトウェア開発や事業開発において、いまだ失敗の経験がない人達にとっても、成功物語を信じて「あとはガッツと忍耐力と技術力で製品を完成させれば成功するんだ!」という誤解を解くには十分すぎる文章ではないでしょうか?

なによりも、アントレプレナーの失敗は、自分自身だけでなく、多くの人を悲しませる結果につながる可能性が高いということを、この短いイントロダクションで気づかせてくれます。特に、後から振り返れば「当たり前」だと思えるようなことを出来なかったために招いた失敗は、次のチャンスにおいてもとても大きな影を落とす事になります。

 

自分の自信喪失、周りからの信頼失墜、そして大きな資源の喪失・・・

 

成功を夢見て突っ走るのはとても大切なことですが、一般的なビジネス目線から見たら「当たり前」と思われることをやらずに失敗するのは単なる「向こう見ず」なだけです。

リーンスタートアップの考え方や本書は、そんな当たり前のことを当たり前に気づかせてくれるのです。

 

本書では以降のチャプターを「ビジョン」「ステアリング」「アクセラレート」という3つの構成で、リーンスタートアップに関する考え方を中心に説明しています。

彼のブログと同様に、リーンスタートアップの実践に直接つながるような手順やツールの紹介などはほとんどないのですが、ファウンダーがリーンスタートアップの必要性と考え方を理解するにはとても素晴らしい内容だと思います。

 

難解な英語はほとんど使用されておらず、普通に英語が読める方であれば非常に読みやすい文章です。

ただし!ただひたすら事例と教訓が続くので、読み進めていると、なんだか長ーい講義を聞いているような感覚に陥り、人によっては睡眠薬の効果があるかもしれません(笑)

 

本編の要所の部分については、またこちらのブログやMeetupで紹介していきたいと思いますのでお楽しみに!

 

 

■お知らせ

9/6に開催したMeetupにてお約束した「朝会」を、9/15から毎週木曜日の朝7時~9時で開催しています!

現在募集中の開催は10/13。ご参加表明は下記よりお願いします。

http://www.facebook.com/event.php?eid=182903135117309

 

■予告

上記でご紹介した朝会ですが、さすがに遠方にお住まいの方から「間に合わない・・・」とのご意見を頂戴しています。

そこで、近いうちにMeetup夜会の開催に向けて準備中です。

・アルコール抜き

・食事も楽しむものではなく

・よって飲食店ではなく

・一般の方から隔離された環境

にて、2~3時間程度のディスカッションを行いたいと思います。

現在、会場を選定中ですので、お知らせまでもうしばらくお待ち下さい!

※18-22時ぐらいで会議室貸しても良いという方がいらっしゃればぜひご紹介下さい!

success@leanstartupjapan.org

またはFacebookの私宛までご連絡お待ちしております!

http://www.facebook.com/leanstartupjp

 

■One More Thing…

最近いろいろな方とお話しをしている中でよく聞くのが、

「アントレプレナーの教科書は難しい・・・」

「読んではみたけど実践は難しい」

「必要性は感じているのだけど、なかなか読書の時間が取れず・・・」

といったお悩みです。

そこで、まる1日使ってリーンスタートアップとアントレプレナーの教科書の内容を完全に理解し、かつ実践に移せるまでを目指したワンデーセミナーの準備を進めています。

すでに起業しているスタートアップの方には、ひとりで考えながら読み込むより効率的かと思いますのでぜひ参加をご検討下さい!

こちらも近々発表予定ですのでお楽しみに!

 

 

※最後に

本来であれば今回のブログはシリーズでお伝えしていた「最初のユーザの探し方 その3」をお伝えするつもりでしたが、The Lean Startup読了の感覚が冷めないうちにこの記事を紹介したかったため、予定を変更しました。その3についてはまたどこかの機会でご紹介しますので、Meetupなどにご参加の際にぜひお尋ね下さい。よろしくお願いします!

 

 

 

【推奨書籍】リーンスタートアップの実践にピッタリな「アジャイルサムライ」

 

7/25に開催したMeetupで、当日ご参加頂いた、達人出版会高橋さんより「アジャイルサムライ-達人開発者への道-」というタイトルの書籍を頂戴しました。

※高橋さんありがとうございました!

 

本ブログで紹介する記事はどちらかというと「顧客開発モデル」に関連する記事が多く、アジャイル開発に関する情報を提供していなかったのですが、この本は一読して「これは絶対に必読だ!」と強く思いましたのでご紹介しようと思います。

「必読だ!」と思った理由は、本書に書かれていることはまさにリーンスタートアップの実践そのものであり、これから実践に移そうとするスタートアップにとっては、この書籍の内容を実践しさえすれば、リーンスタートアップの半分は実行可能なぐらいにピッタリなのです。

アントレプレナーの教科書」または”Running Lean”と本書の2冊は、現時点で私の考えるリーンスタートアップ・バイブルです!(もちろん自分たちなりのカスタマイズは必要ですが)
では読んでいて「グッ」ときた箇所をハイライトでご紹介します。


P.13:ソフトウェア開発の3つの真実として「プロジェクト開始時点にすべての要求を集めることはできない」と紹介されています。

この姿勢はまさに”Pivot”を実践するリーンスタートアップの考え方そのもので、これからどのようなロードマップを引いていくべきなのかを表す、もっともシンプルな教えです。アイディアの段階ではまだまだ仕様は全然決まってないということですね。

P.17:アジャイルチームのご紹介ウォーターフォール型のプロジェクトではチームメンバーの役割は明確にされていますが、アジャイルチームでは、すべての役割は「チーム」の責任とされています。「アントレプレナーの教科書」でスティーブ・ブランクも、製品開発チームと顧客開発チームはイコールであり、開発担当、営業担当、マーケティング担当といったチーム編成はスタートアップにとっての大きな問題だと言っています。創業者チームのすべてのメンバーが同じ責任を共有することは、リーンスタートアップの実践においてとても大切なことです。P.26の職能横断型チームにも同様の記述あり。

P.21:積極的に深く関わる顧客の存在アジャイル開発では、顧客(プロダクトオーナー)の積極的な関与が必要となります。どのようなソフトウェアを作って欲しいか?を知っているのは顧客(ユーザ)だけだからです。リーンスタートアップを実践するアントレプレナーにとって、プロダクトオーナーたる存在は、将来そのサービスを使ってくれるユーザそのものですから、彼らの意見を聞かないで製品開発を行うということは、アジャイル開発において顧客の関与なしに開発をすることに等しく、最終的にユーザが満足するサービスが出来上がることは決してないでしょう。Meetupなどで「ユーザから有効なフィードバックを得るためにはどうしたらよいか?」という質問をよく受けるのですが、最も有効な手段はユーザとの信頼関係を構築することです。一度信頼関係を築いてしまえば、その先の手段についてはあまり問題ではなくなって来ますので、まずはUVPでユーザからの信頼を勝ち取る努力が必要です。

P.32:「誰かがコードを書き始めるまでは、何もかもが捕らぬ狸の皮算用だ」

まさに真実!

P.46で紹介されている「インセプションデッキ」は、リーンスタートアップを実践する際にも非常に有効なツール群です。

「我々はなぜここにいるのか?」に応えることは、Pivotを行う際の強力なビジョンになり、「エレベーター・ピッチ」で紹介されている質問文は、そのまま顧客の仮説記述になります。また、「やらないことリストを作る」という観点は、MVPを目指すスタートアップにとって、TODOリストを作成することよりも大きな意味を持ち、チームのスピードを格段に上げることになるはずです。

P.156:MMF(Minimal Marketable Feature Set)この2つの”M”を理解することは、リーンスタートアップの実践において非常に大切です。最初の”M”のMinimalは、「システムの価値の80%がシステムの機能の20%からもたらされている」という言葉に代表されるよう、MVPを体現する言葉です。長々とした機能リストを作成するなどもってのほか!2つめの”M”は、「市場価値があること」を意味しています。最小限の機能で市場価値を生み出せないプロダクトでは、成功する可能性は非常に低いでしょう。

P.191:ユーザのペルソナを作成する

私は普段から、リーンスタートアップの最初の一歩である「顧客の仮説」の記述は、ターゲットするユーザを絞り込めば絞り込むほど、リーンスタートアップのスピードは増すとお勧めしています。アジャイル・サムライでも、ユーザのペルソナを作成することを推奨しており、ユーザの理解を深める手段として紹介されています。絶対にやるべきですね。

P.192:ペーパープロトタイプの作成

これもリーンスタートアップでまさに推奨されている手法。出来上がるソフトウェアのイメージを手軽に素早く、しかもほぼ無料で作成できるため、とても効果は高いです。

P.198:カンバンプロジェクトの進捗管理方法として、トヨタのカンバンボードが推奨されています。リーンスタートアップでは”Running Lean”の著者Ash Mauryaも推奨しており、ぜひ活用したいところです。ただし、仮説と検証を繰り返すリーンスタートアップでは、カンバンボードのカスタマイズが必要です。

P.273:継続的インテグレーションリーンスタートアップを実践していく上で、継続的開発環境を構築することはとても大切なインフラ整備です。単に開発環境でバージョン管理システムの準備やテストの簡略化をするということではなく、リリースに備える文化をチーム内に構築することが大切です。

いかがでしょうか?まさにリーンスタートアップですね。

それと最後に最も大切な事を。この本に書かれているようなチームが出来たとしたら、たとえプロダクト自体が失敗したとしても、そのチームはとても高い価値を持つようになり、セカンドチャンスを得るのは非常に容易になるということです。リーンスタートアップを実践することの意味は、アントレプレナーの価値を、プロダクトやサービスから、創業者チームの価値にすることが出来るのです。日本でもシリアルアントレプレナーが増えていくには、こうしたことが当たり前にできるチームがどんどん出来てくる必要があるのかもしれません。言い換えると、シリコンバレーにはこうしたチームが沢山存在していることも、シリアルアントレプレナーが多い理由なのしょうか。

ちなみにこの書籍は2011年8月10日(つまり今週水曜日)の発売です
いち早く手にして、リーンスタートアップの実践につなげてみてください!